8/14/2007

◆暑い……

真夏だから当たり前だが、それにしても、この日差しの強さには、凹む。駅から赤坂教室までの道のりの、たかだか数分が実に長く感じられた。網で塩焼きにされる魚になった気分だ。
この暑さに清涼感のある古典と言えば、初唐時代の大家・褚遂良(ちょすいりょう、596~658年)の作品だろう。ホンマかいなと疑う御仁も多いと思うが、そこは無視してどんどんいくぞ(暑いし)。今回から月例競書のお題がこの褚遂良の楷書・房玄齢碑(ぼうげんれいひ、652年頃)。房玄齢とは唐の皇帝・太宗(たいそう)に尽くした人物で、非常に教養の高かった人らしい。

↓↓↓褚遂良の書は、常に線の中央に筆先がくるように書くことがポイント〔全く書風は違うのに顔真卿(がんしんけい)と同じだ〕。さらに、たとえ細い線であっても、力を抜かず、しっかり紙を捉えなくてはいけない。T先生曰く「細くても力のある字もあれば、太くても力のない字もある」。う~~む、哲学的だなあ。


褚遂良の字で少し涼しくなったところで、お次は顔真卿の行書の傑作「争坐位文稿(そうざいぶんこう)」。特別昇段級試験の行書のお題だ。これは朝廷の席次(坐位)を巡る争いの中で、慣習を変えたことに抗議する文書の草稿というから穏やかでない。顔真卿は今でいう抵抗勢力だったのかも。

↓↓↓半切の長~い紙に書いた一部だが、先生が朱で指摘しているように、「興」という字の中央が上の字と比べて右よりになってしまった。さらに全体的に字が大きすぎるので、もっとコンパクトにすること、中でも「再」を小さくすると見栄えがいい…。なるほど。


↓↓↓最後は紀元前の文字「木簡(もっかん)」。こういう字を書いていると楽しく、大らかな気分になってくる。注意しなくてはいけないのは、矢印の×の部分。始筆が丸くなってしまった。先生の朱のように、始筆は右45度くらいの角度で入るようにしなくてはいけない。筆を少し手前に傾け、横線を描くときは筆先が線の上に来るようにするんだそうな。いろんな種類の文字を書いていると、ちょっと混乱しそうだが、いつかは自然に書き分けられるようになるのかしら。

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