10/26/2008

◆金文を半切に書く―さらに蘭亭序&温泉銘

先週、半切に自分の好きな字を書く、というのがテーマ(?)の1日書道勉強会に行ってきた。私の好きな字といえば何といっても金文(きんぶん)だ。金文とは、中国で出土された青銅器などに彫られている古代文字で、紀元前何百年(何千年?)という古い時代のもの。まさに漢字の原型だが、現代でも十分に通用する斬新なデザインなのだ。

↓↓↓これは散氏盤(さんしばん)と呼ばれる青銅器の内底に書かれていた文字の一部。現在の文字で書くと「西宮襄豆」となる。「襄」という字はまるで手塚治の漫画に出てくるヒョウタンツギみたいで楽しい。金文を書くときの注意は、1)縦横の線の太さにバリエーションは必要ない、2)起筆は必ず逆から折り返して入る、3)長い線はサーっと書くのではなく、一、二度、休憩(?)する。さて、出来栄えや如何に。初めての挑戦にしては、結構イケてるんでないかい?


↓↓↓青山書道教室のお題は、10月から王義之(おうぎし)の行書の名品「蘭亭序(らんていじょ)」(353年)となった。蘭亭〔今の紹興(しょうこう)〕で宴を催した時の詩をまとめた詩集の序文だ。美しい文字だがあまり特徴がないので、臨書する身にはつらい。「初」という文字の先生が朱を入れた部分、空間が必要だった。



↓↓↓これは赤坂書道教室のいつもの温泉銘(おんせんのめい)。これも空間がポイント。「岸」という文字の朱の部分、空間が足りなかった。ちょっとしたことで、字が生きたり死んだりするんだよね。

10/13/2008

◆懐素(かいそ)の草書と木簡(創玄二科用)

書統の10月号から草書の規定課題が私好みの面白そうな書体になったので、初・草書に挑戦することにした。唐時代の僧であり(狂僧とも言われた)、書家でもあった懐素(かいそ)の草書・千字文(せんじもん)だ。懐素は無類の酒好きで、狂人と紙一重の豪放磊落ぶりだったようで、その草書は躍動感満点(お酒をしこたま飲んで、いい心持ちになって書いたんだろうな)。ところで、千字文というのは子供たちの漢字手本として書かれた長詩(千の違う漢字が使われている!)の総称で、今で言う小学校の教科書みたいなもの。当時の多くの能書家が書いているので、いろいろな書家の作品を見比べてみたら面白そうだ。ま、それはさておき、破天荒な懐素が書いた大真面目な千字文を、ひとつ臨書してやろうじゃないか。と、気合いだけは相当に入っているぞ。

↓↓↓何人かが、同じ懐素の千字文(言辞安定)を臨書してT先生のところに持っていったら「あれ、初めて草書を書いたわりには、皆、うまく書いてるなあ」と不思議そう。やっぱり、懐素という人物の魅力なんですかねえ。な~んちゃって。


↓↓↓これはT先生主催の赤坂の錬成会(れんせいかい)で書いた創玄展2009(二科)に応募するための木簡の臨書(書いたなかで一番元気がいいと褒められたもの)。生徒数6名という小じんまりとした勉強会だったが、1日たっぷり、先生に教えてもらえたので、皆満足、満足。その後のお酒も(私は飲めないが)つい進んでしまったよ。さて、その成果は? というと、なんだか袋小路に入ったようで、書けば書くほど下手になってきたような。T先生のアドバイスは、太い線と細い線の違いを明確にする、文字の大きさ・形を大・小、縦長・横長と書き分ける(食と部は縦長になる)。縦画は、ゆっくり書くように注意する(私は速く書きすぎる)。若干斜め上に傾斜した字体にする。同じような線でも速度を変えたりして、同じ表現にしない。力を抜いて軽く書く(これが結構難しい)。はあ~~~、まだ締め切りまでに時間はあるので、頑張ろうっと。

9/23/2008

◆木簡、かな混じり書

いつも思うことだが、木簡を書いていると古代人の大らかさに触れている気がしてとても楽しい。細かいことは気にせず奔放に書けるところも私向きなのだ。

↓↓↓「負」のAの部分は、オリジナルでは縦画から横画にひと筆で書いているように見える。そうだとすると通常とはあまりに違う書き順だが、T先生によると、オリジナルがどう書いているかが分かりにくい場合は、解釈がひとつではないこともあるので、それは自分の解釈で書いていいという。「馬」のBの部分は、先生の朱のB'のように一度上に浮かせ気味にしてから縦画を書く。ただオリジナルの文字は角が丸くなっているので、それを真似てB''のようにするもよし、なのだとか。


↓↓↓本当に木簡は自由人の字なんだなあ。ということで、仕上げはこちら。


↓↓↓続いてかな混じり書。お手本を真似て書いたのだが、どうしても字が大きくなってしまう。しかしT先生はこれは私の個性だから、お手本どおりにする必要はないのだと言ってくれた(昔の名品の臨書ではないのだから、自由でいいということだ)。ポイントはひらがな。漢字はかなよりも強い字なので、かなはそれに負けないように意識して書かなくてはバランスがとれない。お手本のかなは細い文字だったのでそのように書いたが、思い切って太く、力強くした方がいいとのアドバイス。


↓↓↓意を強くしてかなを太く書こうと思ったら、つい漢字がデカくなりすぎた。ちょっとホワイトスペースが足りない気がするけど、ま、いっか。時間切れのためこれにて終了。

8/31/2008

◆書作の特別昇段級試験だ!

ずいぶんご無沙汰してしまったが、あっと言う間に8月も終わり、明日から9月だ。書道の方も、書作・昇段級試験の締め切りが間近となり、慌しくなってきた。では、提出のためにちょっとだけ頑張った課題の楷書と行書の半切作品をまとめて紹介しておこう。

↓↓↓まずは楷書の課題・張玄墓誌の臨書。張玄墓誌は初挑戦でもあり、何が特徴なのかよくわからないまま仕上げてしまったので、何となく心残りではある。


↓↓↓こちらは行書の課題・温泉銘の臨書。楷書に手間取ったためほとんど書く時間を取れなかったが、温泉銘は赤坂書道教室で習っていたので、ま、そこそこの作品になったのではないか。

7/21/2008

◆まとめて一気に、かな混じりもあるよ!

目出度く(?)梅雨もあけ、蒸し暑い夏の到来だ。暑いとエネルギーの消耗が激しいので、ここは一気にまとめてザクッといくぞ。

↓↓↓「既」の曲がる部分。前にも言われたことがあると思うが、曲がり角は細く。私のは曲がり角が太くなっている。そして縦画。始筆の筆の向きはそのままで、下に真っ直ぐ書く。わかっちゃいるけど、難しい~。


↓↓↓またもや縦画。矢印の部分で一呼吸して筆を調え、そのまま一気に下に伸ばす。これはその注意を守って書いたもの。これでOKだとか。よかったなあ。ただし「窮」の朱で先生が…を書いたところも同じ注意が必要だった。残念!


↓↓↓お次は「越」。AとBの部分はどちらも線のところで揃えることがポイント。知らなかった…。


↓↓↓最後は「かな混じり書」への挑戦だ。矢印の部分が直線になってしまったが、湾曲させた方が格好いい。な~るほどね。

6/08/2008

◆久しぶりの書道教室

仕事が忙しくてすっかりブログの更新をしていなかったが、超ド級的忙しさはまだ進行中なので、とりあえず書道教室で書いたものを公開してお茶を濁すことにするか。

↓↓↓ご存知、木簡(もっかん)。納得はしていないのだが、これを書統の月例選書に出すことに決定!


↓↓↓これは書統に出ていた手本を元に書いたもの。T先生からは「手本よりいいよ」と言われたけど、ホントかなあ? でも「志」の最後のハネの角度がちょっと違っていた。


↓↓↓いつもの王鐸(おうたく)の行書。「寿」は、先生から「すごくいい線が出ている。こういう豪快なのが合ってるなあ」と言われ、すっかりその気になってしまった。が、最後の「能」は、先生の「能」(墨で行間に書かれたもの)のように、細くても強い力のある線を出さないといけない。これ、前にも言われたけど、難しい・・・。


↓↓↓最後は、来月の書統の随意課題「道」。これは本当によかったみたいで、「提出してしまうのはもったいないから、自分で取っておいて何かの時に発表したらいいよ」と言われ、半信半疑ながらも、心の中で「やったぁー!」。なんだか盆と正月がいっぺんに来たみたいだ。仕事のストレスもこれで吹っ飛んだ感じ。よ~っし、明日からまた頑張るぞお!

5/10/2008

◆夢がしゃがんでいる?!

GW中の5月4日、平塚市立美術館で開催中の「村田朋泰展・夢がしゃがんでいる」に行ってきた。架空の景勝地・三ノ函(みのはこ)半島にある百色(ももいろ)旅館が目的地だったはずなのだが、うっかりと三ノ函映画館「世界の座」に寄り道してしまったため、目指す旅館に着いた時は夕方になっていた。それでも速攻で名物・ピンクゲルマ温泉に脳みそだけつかり、屋根より高い洗濯干し場に上ってちょいと涼み、最後はだだっ広い宴会場で宣伝映画なんぞ見てしまい、不覚にも村田朋泰にすっかり洗脳されてしまった。
出口で、ず~~っと逆立ちしっぱなしの「さかだちくん」や大きな目をうるうるさせていた「ユニコーン」に別れを告げ、後ろ髪を引かれながら展覧会場を後にした。

これではさっぱりわからないと思うが、要するにそんな展覧会だったのだ。
5月25日まで開催されているので、もっとわからなくなりたい方は、ぜひご自分の目でお確かめを。





4/20/2008

◆久々の書道教室!

年度が新しくなってから初めて書道教室に行ってきた。仕事が忙しくてすっかりご無沙汰していたが、短い時間でも書道の世界にどっぷりつかると脳の違うところが活性化され、日ごろのストレスが吹っ飛ぶ気がする。やっぱりアートの世界はいいよね。

青山書道教室では、4月から新しいお題になった。楷書の最高峰かつ正攻法の極致とも言われる「九成宮醴泉銘(きゅうせいきゅうれいせんめい)」だ。九成宮は唐の皇帝・太宗の別荘(離宮)の名。そのあたりの土地は水が少なくて難渋していたが、お宮の敷地内で甘酒(醴)のように美味しい湧き水が出た。それを記念して建てられた碑がこれだ。碑文を書いたのは当時最高の書家として一世を風靡していた欧陽詢(おうようじゅん、557~641)。あまりに整った書体であるがゆえに、われわれ臨書する者にとってはごまかしのきかない厳しい書でもある。まいったな、こりゃ。
T先生からの書く前の注意点は、1)横画は始筆を小さく、終筆に向かって徐々に大きくする、2)「武」は横画の右上がりをやや強くする、3)ハネの部分は小さく・軽く、といったところ。

↓↓↓Aの部分。ハネは小さくしたのだが、力が入りすぎてしまった。先生の朱のように、軽~く、軽く。Bの終筆の部分も私のは力が入りすぎ。どちらも一旦筆を浮かせてから、軽~いタッチでハネまたは終筆の部分を、ポン、と書くようにする。なるほどね。


↓↓↓赤坂書道教室のお題はいつものとおり王鐸(おうたく)の行書。糸ヘンの矢印の部分は、行書といえどもキッチリ筆を止めて、カクッとさせなきゃいけなかった。


↓↓↓最後は『書作』ならぬ『書統』の月例競書に提出するための習作(4月からいろんな書体を学べる『書統』も始めることにした)。得意(?)の古代文字・木簡(もっかん)がお題だ。特に最初の字を読める人は相当少ないと思うが、これは「延寿」という目出度そうな文字。年度初めにぴったりだね。

3/16/2008

◆創玄展やら祝賀会やら

先週は上野の東京都美術館と乃木坂の国立新美術館をはしごして創玄展を見てきた。ポカポカ陽気が2日続いたせいか、上野公園では数本の桜が咲いていて、ちょっと得した気分。そして昨日は、T先生の創玄展・準大賞受賞を祝い、赤坂書道教室の生徒を中心に祝賀会を開催。ホテルの高級中華料理店に、皆、普段よりも少しグレードアップしたドレスコードで集合。大御所のI先生も他の用事をすっぽかして(?)駆けつけてくださり、こじんまりとはしていたが、とてもあったかいお祝い会となった。 


↓↓↓てなわけで、東京都美術館に展示されていた私の準二科賞受賞作品はこちら(T先生の作品じゃないよ。間違えようもないが、念のため)。会場で他の人の作品と一緒に見ると欠点ばかり目につき自信がなくなってしまうが、ま、一応受賞したんだからよしとするか。でも、もう少し墨を薄くして、墨量もたっぷりさせて書いた方が迫力があったよなあ、と反省。


↓↓↓さて、今週の青山書道教室の成果はこちら。T先生からは、横線の書き方を少し変えてみたらもっとよくなるとのアドバイス。T先生が書いた朱色の横線Aのように、書きながら微妙に速度を変えると(びびらせるように書く)、味のある横線になる。Bのようにまっすぐに、サッと書くと健康的な感じだ。今練習中の張遷碑(ちょうせんひ)は、Aのように書くと面白い。この書き分けが大切みたいだ。確かにお手本にしている書籍「古典渉猟」を見ると、同じ隷書(れいしょ)の臨書でも、張遷碑では横線が微妙にゆれているが、別の隷書ではまっすぐ、すっきりの横線だったりして、確かに書き分けられている。


↓↓↓次は赤坂書道教室の王鐸(おうたく)の行書だ。ようやく、行書もそれなりになってきたかな? ただ、やっぱり私の悪いくせが出て、「一」の字の途中で力が抜けていることを指摘された。つい調子に乗って書くと、そういうくせが出てくるんだよね。


↓↓↓最後は、月例競書への提出作品。今回から王義之(おうぎし)の行書の臨書となる。T先生からは「うん、勢いがあるよ」と褒められたので、細かい問題はたくさんあるけど、もうこれを出すことに決定!

3/02/2008

◆T先生が創玄展で準大賞

つ・ついに、我々を教えてくれているT先生が今回の創玄展で準大賞を受賞! いやあ、目出度い目出度い。今回の出品作は本当に締め切りギリギリに提出したとのことだが、そういうもんなんだね。赤坂の書道教室では、次回の教室のあと、皆で先生の受賞を祝う会をしようということになった。でも受賞すると、この手の祝賀会でT先生は結構大変そう。今回の受賞がわかってすぐ、えらい先生方にしてもらった祝賀飲み会(?)では、日本酒を飲みすぎ、帰りの電車で寝過ごしてしまい、結局ビジネスホテルに泊まる羽目になったんだとか。ま、若いから、それもいいよね。

展覧会で受賞するためには、我々のような臨書の場合でも秘訣(?)があるようだ。まず、見栄えのするお手本を選ぶこと。T先生曰く「展覧会は舞台と同じだよ。舞台で映えるためには、化粧を濃く、目立つようにするでしょ。展覧会で賞を取るためには、審査員に訴える強い作品がいいんだよ」。私は、青山書道教室で習ったことのある王義之(おうぎし)の楷書も好きなんだが、ああいう端整な美しい書は、応募作品1枚がわずか数秒で判定される審査では、なかなか高い得点を取りにくいのだそうだ。なるほどなあ。

↓↓↓これは毎度おなじみの隷書(れいしょ)。今回の注意点は「決」のはらう線の書き方(矢印)。隷書と楷書では反る方向が真反対になる。隷書は矢印のとおり、やや上に反った感じになるが、楷書では、直線的か逆に下が膨らむような感じになる。創作で隷書っぽい作品を書く場合は、そういう隷書の特徴をおさえなければいけないのだとか。一見隷書っぽく書いていながら、そういう細かい特徴が楷書的になっているのはおかしいらしい。全然知らなかった・・・。


↓↓↓次は王鐸(おうたく)の行書。行書ではあるが、線は直線的。他の行書のようにサラッと書かず、カクッ、カクッ、としたリズムで書く。まだまだだけど、こういう行書は面白い。

2/24/2008

◆書道の1日勉強会:ごっつぁんです!

昨日は、所属する博光書道会の勉強会(春季・錬成会)に行って来た。10時から5時まで、体育館のように広い会場で書道三昧の1日だ。会場には、会長のI先生を筆頭に、T先生を含む博光書道会の主だった先生方が数人来られ、参加した50人以上の生徒が書いているところを回りながらアドバイスをしてくれたり、実際に書きながら教えてくれる。いろいろな先生に教えてもらえるので、普段の書道教室とはまた違った面白さがある。I先生は参加者全員を見て回り、きめ細かく指導してくれるので、これもまた参加者にとっては大きな魅力だ。

会場では、ほとんどの人が毎日書道展(5月締め切り)に応募する作品を書いていたが、私はとてもそんなレベルではないので、とりあえず来年の創玄展用に「木簡」のお手本をもらい、その練習をした。しかし、周りで毎日展用の大きな文字を書いているのを見ると、私もつい書きたくなり、勢いでお手本だけもらうことにした。T先生からも「まだ間に合うから毎日展に出してみたらいいよ」などとのせられ、ついでに毎日展用のお手本選びも手伝ってくださったので、これは書かないわけにはいかないぞ。T先生は、私の豪快さ(?!)が活きるような文字がいいと言い、ものすごくぶっとい線の、迫力ある書を選んでくださったが、まだ毎日展用の大きな紙も太い筆も持っていないので、これからあわてて買わなきゃならん。あら、大変。

↓↓↓それはさておき、昨日1日、地道に練習した成果はこちら。I先生からは、2行目の中心が全体に左に寄っているところを気をつけるようにとのアドバイスをもらう。T先生は「いつもの迫力が足りないよ」「墨が濃すぎるよ」など、「あっ、そうか」と思うようなことを、見て回りながらひとこと言ってくれるので、やっぱり自分のことをよく知っている先生がいると全然違うのだった。最後に、若いときはリーゼントだったというK先生からのアドバイスはこちら。①木簡は1本1本の線をていねいに書くよりも、少々形がくずれてもいいから、目をつむってリズムに乗って書くくらいの気持ちが重要。ただし、手先で書くのではなく、体で書くこと。②線はすべて同じリズムではなく、緩急を織り交ぜて書く。③起筆は皆同じ角度から入るのではなく、真上から入ってみたりして、線により違いを出す。
木簡はかなり書けるようになったと思っていたけど、まだまだ奥は深いのだ。

2/17/2008

◆張遷碑の特徴って?

青山書道教室では、久々にO先生が登場。隷書(れいしょ)にはいくつか種類があるが、そのなかで、今、われわれが習っている張遷碑(ちょうせんひ)にはどんな特徴があるのか、教えてくれた。全体としては、どっしりとした逞しさのある隷書なので、そういうイメージを持って書くことが大切なんだとか。各論で言うと、次のようになる。
①他の隷書と比べて線が太い(起筆を強くすると太く書ける)、②他よりも直線的、③波磔(はたく)は他よりも短く、力強い、④波磔のある横線を書く時は、途中までは若干上がり気味にし、続いて下がり気味に書く。
↓↓↓この4番目の特徴を意識し過ぎて、ついオーバーに書いてしまったのがこちら。でもそれ以外は、元気のよさを褒められ二重丸。


↓↓↓赤坂の書道教室では、いつもどおり王鐸(おうたく)の独創的(?)な行書に挑戦。何度も書いた甲斐あって、ようやく自分でも納得できるレベルになりうれしい限り。ただ、「中」という字は、T先生から「ちょっとこれはやり過ぎかな」と言われてしまった。隷書といい、王鐸といい、その書の特徴をついオーバーに出し過ぎてしまったのがイカンかったなあ。


↓↓↓最後はいつものとおり月例競書への提出用だ。独創的な楷書の名品・賀蘭汗造像記(がらんかんぞうぞうき)。私の大好きな書体のひとつだが、今回のお題には結構苦戦した。ま、この程度でよしとするか。

2/11/2008

◆森美術館の「アートは心のためにある」


昨日、スイスの金融機関・UBSが所蔵する現代美術コレクションの展覧会「Art is for the spirit」を見に行ってきた。欧米だけでなく、世界中の現代アーチストの絵画、写真、オブジェ、ビデオ作品など、合わせて約140点が展示されていて、なかなか壮観で、見ごたえのあるものだった。そのなかには、アラーキーこと荒木経惟の若き日の代表作「さっちん」も何点かあり、ちょっとうれしかった。

なかでもずっしりと心に残ったのは、ビデオ作品で、タイトルは確か「メモリアル・プロジェクト」。横に並んだ5つのモニターにはどれも大理石の板が映っていて、その石板に水をたっぷり含んだ絵筆で人の顔を描くところが映し出されていく。1つめの石板の顔が完成したら、続いて2つめ、3つめと、次々と石板に別の顔を描いていくのだが、その間に、描き終えた顔がどんどん消えていく(水が蒸発する)。人の記憶の消えていく様を見事に映像化した、何かうすら寒くなるような作品だった。他にも、お皿のカケラや百円ライターなどのガラクタを使った大きな三日月のモザイク作品も印象的だった。遠くから見ると、白い壁に大きな三日月がぽっかりと浮かんでいて、なかなか楽しいのだが、近くに行くと、その三日月を形作っているものが全てガラクタであることに気づかされる。人間は宇宙にもゴミを浮遊させているんだったなあ、と愕然としてしまうのだ。

まさに今という時代の、今生きている者だからこそ共有できる、心に響くアート作品は本当に刺激的だ。書道という手法であっても、いつの日か、時代を映す現代のアート表現をしたいなあ。実力が伴うようになる日が来ると信じて、頑張ろうっと。

2/03/2008

◆準二科賞だった!

先週の木曜日、会社から帰宅したら、作品を応募していた創玄展から結果通知の手紙が来ていた。あけてみると、な・な・なんと「準二科賞」だ! 教室では一科(二科で受賞を何回かした人が一科に進める)の人が多くて、みんなうまいなあ、と周りをみながらいつも感心しているんだけど、やっぱり挑戦はしてみるもんだ。受賞通知の手紙を見て「やった!」と一人で喜んでいたら、青山の書道教室で世話人をしてくれているYさんから、「おめでとう電話」があり、二度びっくり。これもみんな、青山・赤坂の書道教室で指導してくれている若いT先生のおかげでごんす。感謝感謝。赤坂の書道教室が終わった後、「お祝いだあ」とT先生も一緒に皆で祝宴となったのだった。なんだか劣等生って、得だなあ。

青山の書道教室は、珍しく大御所のI先生が前回に引き続き登場。すごくていねいに教えてもらうことができたし、創玄展などの展覧会への応募作品添削もひと段落したので、この教室では珍しく、久々にのんびりと書道を楽しめた。

↓↓↓いつものとおり、お題は隷書(れいしょ)の張遷碑(ちょうせんひ)。I先生からの書き方の注意点は、1)横線はゆっくり、しっかり書く、2)縦よりも横線を太くする、3)縦線は必ず逆から入り、折り返して書き始める、4)横線の始筆を強くする。そして今回の字は、「興」という字の書き順を「同」から書き始めた方が文字の中心をうまくとれる、とのこと。それらの注意を守った(つもりの)習作がこちら。I先生からは「うん、なかなかいいよ。この調子でやって」とのありがたきお言葉。こういう素朴系の字は結構得意になってきた気がするぞ。


↓↓↓赤坂の書道教室は、青山教室とはガラッと変わり、王鐸(おうたく)の行書がお題だ。これは王鐸が、酒を飲みながら興に乗って書いたものらしい。う~~~む。どうも古代・素朴系の書体と違い、なかなか思うようにはいきませんがな。

1/20/2008

◆青山の書道教室も始動

青山の書道教室は今年初めてのレッスンで、久々に大御所のI先生も登場。NHKの趣味悠々で、また講師を務めることになったとか。そのテキストを見せてもらったが、すべて新たに書き下ろしたとのことで、書を自由な発想で楽しもう!という提案が随所にみられる、とても楽しい1冊に仕上がっていた。

↓↓↓これは昨年から引き続きのお題、隷書(れいしょ)のなかの張遷碑(ちょうせんぴ)だ。隷書を久々に書くと、つい横線が右肩上がりになってしまう。T先生が教えてくれた隷書の注意点は、①横線の見せ場となる波磔(はたく)は1文字に1箇所が原則(多いとしつこい)、②普通の書体はヘンの方をツクリより幅狭く書くが、隷書は同じ幅にする(ヘンの方が幅広くらいの気持ちがよい)、③「口」などを書くときの2本の縦線は、普通は右側の方が太いが、隷書は左側の方が太い。そして筆は手前(自分の方)に少し倒しながら書く(普通は右手前に少し倒す)。ホント、普通の書体の書き方と全然違うよね。


↓↓↓次は赤坂の書道教室のお題、王鐸(おうたく)の臨書だ。Aの横線は単調すぎた。先生の朱のように、細い線から始まってふっくらと太くしてから曲がり角となる。角の部分の内側がどのような形になっているか、オリジナルを観察することも大切なのだとか(まったく見ていなかった!)。
この書、前回は柔らかい羊毛中峰筆で書いたが、今回は隷書と同じ硬い兼毛中峰筆を使用。やっぱり羊毛の方がよかったような気がする。


↓↓↓最後は月例競書への提出用、賀蘭汗造像記(がらんかんぞうぞうき)の臨書。これは結構いいんじゃないの?

1/13/2008

◆謹賀新年

年末年始の休みが早くも記憶のかなたに立ち去り、初出勤から怒涛の1週間が過ぎたが、書道の方も忘れちゃいけない。今年の赤坂の書道教室では、皆の共通のお題が初の「王鐸(おうたく)」の行書と相成った。T先生に王鐸の行書の本を見せてもらい、その迫力にびっくり。ただ臨書するだけでも、すごい作品を作れそうな予感がし(ちょっとずうずうしい?)、皆、やる気満々となったのだった。モチベーションが上がるなあ。

王鐸(1592~1652年)という人は、明と清の2つの王朝に仕えた人物。楷書は顔真卿(がんしんけい)、行書は王義之(おうぎし)の書に学んだというが、その個性的かつ奔放な書は全く独自のもので、今でも多くの書道家を魅了している。

↓↓↓と、そこまで聞いて、この習作を見るとがっくりするかもしれないが、ま、お付き合いくださいまし。先生からは、なかなかいいじゃない、と言われちょっと満足。先生が書いた朱の部分、2本の横線の角度が微妙に違うところに注目。そういった細かいところを観察しなくてはいけないのだ。なるほど、先は長いぞお。