昨日、スイスの金融機関・UBSが所蔵する現代美術コレクションの展覧会「Art is for the spirit」を見に行ってきた。欧米だけでなく、世界中の現代アーチストの絵画、写真、オブジェ、ビデオ作品など、合わせて約140点が展示されていて、なかなか壮観で、見ごたえのあるものだった。そのなかには、アラーキーこと荒木経惟の若き日の代表作「さっちん」も何点かあり、ちょっとうれしかった。
なかでもずっしりと心に残ったのは、ビデオ作品で、タイトルは確か「メモリアル・プロジェクト」。横に並んだ5つのモニターにはどれも大理石の板が映っていて、その石板に水をたっぷり含んだ絵筆で人の顔を描くところが映し出されていく。1つめの石板の顔が完成したら、続いて2つめ、3つめと、次々と石板に別の顔を描いていくのだが、その間に、描き終えた顔がどんどん消えていく(水が蒸発する)。人の記憶の消えていく様を見事に映像化した、何かうすら寒くなるような作品だった。他にも、お皿のカケラや百円ライターなどのガラクタを使った大きな三日月のモザイク作品も印象的だった。遠くから見ると、白い壁に大きな三日月がぽっかりと浮かんでいて、なかなか楽しいのだが、近くに行くと、その三日月を形作っているものが全てガラクタであることに気づかされる。人間は宇宙にもゴミを浮遊させているんだったなあ、と愕然としてしまうのだ。
まさに今という時代の、今生きている者だからこそ共有できる、心に響くアート作品は本当に刺激的だ。書道という手法であっても、いつの日か、時代を映す現代のアート表現をしたいなあ。実力が伴うようになる日が来ると信じて、頑張ろうっと。
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