エイズ撲滅を願って制作され、自身もエイズにより命を奪われたへリング最後の作品だ。下書きなど一切せず、直接粘土に彫っていったという。これを彫り上げた2週間後に亡くなったため完成品を見ることはなかったが、ブロンズに白金で仕上げられた現在の形は、彼が生前に決めていたことだった。へリングらしい鮮やかな色彩が封印されている代わりに、光が織りなす荘厳な美が際立ち、ダイレクトに心に響いてくる。
不思議なことに、これが飾られている周囲のどこを見ても彼の名前や作品タイトルが刻まれているプレートはない。その代わり、「The Interfaith AIDS Memorial Chapel(宗教を超えたAIDSメモリアルチャペル)」と題する3つ折りチラシが置いてあるので、それを見ると、この作品について詳しいことを知ることができる。
また、この作品の左右には様々な宗教を示すシンボルが飾られており、エイズ撲滅のために宗教を超えて助け合おうと、ビジュアルからも訴えかけている。1849年から続く歴史ある教会が、さりげなくこんな事をするというのが、何とも心憎い。
↓↓↓上から、イスラム教、キリスト教、道教、ネイティブアメリカンのスピリチャリティ、神道を示すシンボル。
↓↓↓上から、ヒンドゥー教、ユダヤ教、仏教、ジャイナ教、その他の宗教を示すシンボル。
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