4/30/2007

◆いつもの「告身帖」、初の「賀蘭汗造像記」

青山・書道教室の今期のお手本は、顔真卿(がんしんけい、709~785年)の書いた「告身帖」。前回はその中の4文字だけだったが、今回は8文字と倍になった。告身帖は前に創玄展に出すために頑張って練習したことがあるせいか、8文字だってス~イ、スイと書けちゃうのだ。ホントか? と思う向きは以下の現物を見てご判断を。

↓↓↓全体的にはいい感じに書けているが、始筆(矢印①)と終筆(②)の部分をもっと強調した方がいいのだそうだ。線の中間を少し細くして、メリハリを付けるようにする。確かに、言われてみると、横線が単調になってしまったなあ。


↓↓↓「導」という字の赤丸の部分。間があきすぎてしまった。


↓↓↓これは月例競書用だが、今回は新しい課題に挑戦してみた。中国・北魏(ほくぎ)時代の石窟(龍門石窟)の中に彫られている「賀蘭汗造像記」(がらんかんぞうぞうき、502年)という作品の中の二文字だ。亡くなった廣川王賀蘭汗のために、妻が弥勒像を造ったことが書かれているらしい。石窟に鋭利な刃物で彫った作品なので、先生の朱書きのように、始筆、終筆、角の部分の鋭利さが大きな特徴(私はうまく書けていないが)。私たちがお手本にしているのはその拓本だが、1500年以上前の作品なのに、磊落さ、瑞々しさがほとばしっていて、とても刺激的なのだ。

4/14/2007

◆初めての国立新美術館

昨日、六本木(というよりは乃木坂)の新名所・国立新美術館で開催中の「ポンピドー・センター展:異邦人たちのパリ」に行ってきた。金曜日の夜は午後8時(入館は午後7時半)まで開いているので、会社帰りに行けるというのがうれしい。

パリのポンピドー・センターには、かつて(20年以上前!)行ったことがあるので、何だかなつかしかった。当時の印象として、ともかくマン・レイの写真が感動的だったこと、絵画や写真だけでなく現代アートの様々なオブジェが展示されていて、それがものすごく新鮮だったことが思い出される。今回も、藤田嗣治、ピカソ、シャガール、カンディンスキー、ジャコメッティといったよく知られているアーチストの作品(今や古典?)だけでなく、自由な発想の現代アート作品も結構あり、仕事ばかりで凝り固まっていた脳みそが一気に開放された。もうちょっとこういう展覧会に行かなきゃなあ・・・。


美術館に入って最初に出迎えてくれたのが、ジャン・ティンゲリー(スイス)の鉄で出来た巨大な虫の骨組みのような作品「メタNo.3」だった。これがギ~~コ、ギ~~コと錆びた鉄特有の、でっかい耳障りな音をたてながら、巨大な台座の上で黙々と動いているのだ。あまりの面白さにしばし見とれてしまった。現代文明を風刺しているような作品で、何かユーモラスであり、意味もなく動く姿には物悲しさも感じたりして・・・。
そしてもう一つ、強烈なインパクトのあった作品が、チェン・ゼン(中国・上海~フランス)の「ラウンド・テーブル」。これも巨大な作品で、円形の大テーブルの円周に様々な椅子が貼りつくだけ貼りついている。どの椅子も座面はテーブル面と融合しているので、誰も座ることのできない椅子たちなのだ。
これらの作品は、どちらも「絶対、どうあっても世の中の役に立たない」ことが際立っているところが、実にアートなのだった。

芸術鑑賞で脳みそに活力を与えたところで、次は胃袋を満足させなきゃ、ということで行ってみたのが美術館の3階にある噂のレストラン「ブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼ」。8時ごろに行ったのだが、完全に満席状態。念のため予約しておいてよかった。店の雰囲気はカジュアルだったが、値段は一流。グラスワイン1杯に前菜、メインの肉料理、デザート、コーヒーを頼んで、1人約1万円。味はうなるほど美味しかったわけでなく、暴れるほどまずかったわけでなく、まあソコソコですかね。1万円も出してソコソコというのはどうよ、という意見もあろうが、芸術鑑賞で疲れた足には、館内にあるレストランはやはり貴重だった。

4/08/2007

◆4月の新プログラムスタート

青山の書道教室では、4月から新しいプログラムがスタートした。これまでの「かな混じり書」ではなく、書の古典を真似て書く「臨書」の授業だ。臨書は、我々のような素人だけでなく、独自の書の作品を生み出している書道家、アーチストにとっても、まさに基本中の基本だ。教室の今期(4~9月)のお手本となる書は、「石飛博光臨書集・古典渉猟 第八集」の中の「告身帖」。これは、本ブログでもお馴染み、私の大好きな願真卿(がん しんけい)の楷書の名品だ。願真卿は唐の四大家の一人。くせのある書体のため、この人の書は好き嫌いが相当にはっきりしているが(嫌いな人は本当に駄目みたいだ)、その割りには、活字の明朝体は願真卿の楷書が元になっているというのだからようわからん。

↓↓では、教室のおさらいだ。顔真卿の字の特徴は2つ。最後のハネの部分が鳥の尾っぽのようになっているところと(今回の書ではちょっとわかりにくい)、「日」(国も同じ)の矢印の部分がビヤ樽のようにふっくらしているところ。先生からは「こういう字は得意だよね」と言われ、目出度く下の2文字に丸をもらった。


↓↓↓次回の月例競書に提出する作品はこちら。同じ顔真卿だが、行書になると得意とはほど遠く、今回はかなり苦戦したというのが実感だ(書き直そうかなあ・・・)。