10/22/2006

◆足下を見ろと? 見てますがな・・・

今回の青山教室での書のお題は「看脚下(かんきゃっか)」。禅の言葉で、遠大な計画もいいけど、まずは足下をちゃんと見ろという意味だとか。でも、実際仕事をしていると、毎日足下のことばかりで、近視眼的になっているような気がしてならない。ま、いいんですが。

↓↓↓この書の見所は「下」という字の伸びやかさ。「脚」は先生の朱文字のように、もっと扁平に書いて、デザイン的な面白さを出したかったところ。かなり思い切って扁平に書いたつもりだったが、それでもまだ足りない。


↓↓↓これは11月の月例競書に出す作品。ご存知、顔真卿(がんしんけい)が書いた行書の臨書だ。何と読むのかって? う~~~。

10/09/2006

◆知り合いの写真展に行ってきた

書道教室の帰りに、知り合いが写真展をやっているというので行ってきた。場所は、めったに行くことのない中目黒の目黒川沿いにあるギャラリーだ。噂には聞いていたが、その近辺にはつい入ってみたくなるようなおしゃれなお店がいっぱいあり、駅からギャラリーにたどり着くまでに1時間以上かかってしまった(普通に歩けば10分弱のところでした)。写真展鑑賞前のウォーミングアップとでも申しましょうか。ま、前菜みたいなもんですな。

行ってみると、期待以上だった。タイトルは「森敏明写真展・トヤマホテル」。レトロな建物や猥雑な路地裏のワンシーンを、森さんらしい温かい視線で切り取ったモノトーンの写真群が、洗練されたレイアウトでディスプレイされていて、美的に刺激的。ギャラリーの空間全体がひとつの作品になっていた。

↓↓↓この作品、写真とイラストに赤いハンコが押されていて、とてもおしゃれ。ハンコはどこかのみやげ物で、いずれ使いたいと思って取っておいたものだとか。そのハンコの赤が、今回の展覧会の肝(キモ)のような役目を果たしていた。


↓↓↓これは床にディスプレイされた作品。この上を無心にひょこひょこ歩いた子供がいたそうだが、結局、「足跡ひとつ付いていなかった」と残念そうであった。


↓↓↓記念に作者をパチリ。写真を撮るのは好きでも撮られるのは苦手なようで、どうしてもカメラの方を向いてくれない。ハニカミおじさんなのだった。

◆今回から「かな混じり書」

青山教室のレッスンは、今回から半年間は中国の漢字の古典を離れ、「かな混じり書」となった。お手本は、『石飛博光「書」の絵本・花のような気持ちでいよう』。これまでのレッスンと違って、ちょっと軽量級じゃない? というのが最初の印象だったが・・・。やってみるといや面白い。今回は老子の言葉「多則惑(たそくわく)」という漢字を中心に置き、その意訳文「知りすぎたって迷うだけ」という言葉をかな混じり書で加えた作品。漢字は紀元前から紀元後(秦時代から前漢時代)の中国で発達した隷書(れいしょ)という書体で書かれており、大らかで楽しい作品になっている。よく言われることだが、創作の基本はやはり古典なのだ。

↓↓↓隷書の文字は、横の線を右肩上がりにせず、水平に、真横に書くというのが特徴だ。書いてみると、最初のうちはどうしても右肩上がりになってしまうが、慣れてくると真横に書けるようになり、造形的にも味わいが出てくる。そこでI先生に見てもらうと、この字は面白いね、と「多」という字に二重丸をくれた。「則」はちょっと単調だから、横線を書くときのスピードに緩急をつけたらいいよ、というアドバイス。


↓↓↓そこで書いたのがこちら。I先生のところにもう一度持っていくと、じっと見てから「うん、いいね」と言い、近くにいた若いT先生に「ちょっと鉛筆ちょうだい」。「はて???」と思っていると、朱を入れずに左下に小さく、鉛筆で「A」と書いてくれた(写真では分かりませんが、ちゃんと入っています)。意味がいまひとつ分からず、狐につままれたまま席に戻ると、周りの人が手を叩きながら「すごい!」と言う。へえ、そうなんだ、と急にうれしくなってしまった。初の「A」作品、じっくりご覧あれ。