このブログ、あまりに更新しないのですっかり忘れ去られている気もしないではないが、心を入れ替え久々の更新だ。
先週、去る所で鉛筆デッサンの衝撃的な講習を受けたので、今回はそれを紹介したい。書道とは何の関係もないように思えるが、実は深いところで繋がっていた。
デッサンに必要なのは、まずは鉛筆。デッサンのための道具だ。しかしその「道具」が、一筋縄でいくシロモノではなかった。先生曰く、道具とは「道」に「具(そな)える」ためのもので、厳密に言うと文具店で売っている鉛筆は単なる工具で道具ではないんだそうだ。
道とは「道を究める」こと。書道や武道、茶道などのあの「道」だ。
そこで最初に教わったのが、鉛筆をデッサンの「道具」にするための方法だ。ま、要するに鉛筆をカッターナイフで削る方法なんだけどね。先生の教えに従って鉛筆をナイフで削り終え、ようやく我々はデッサンのための「道具」を手に入れることができたのだ。
書道で言えば自分ですった墨は「道具」だが、墨汁は「工具」。この2つの決定的な違いは「具える」という行為をするかどうかなのだそうだ。
そう言えば、ヤンキースのイチローはグローブやバットの手入れを人に任せず自分でするというのをテレビで見たことがある。他の選手は皆専門家に任せるのに、イチローは黙々と自分の「道具」を手入れしていた。その姿は「道を究める」武士のような雰囲気を醸し出していた。
さて道具も整い、いよいよデッサンかと思いきや、次は鉛筆でグレースケールを作るという作業が待っていた。横長の長方形のカラムを15に分け、白から黒までグラデーションにしていくのだ。
↓↓↓上は2Hの鉛筆、下は2Bの鉛筆で作ったグレースケール。
このグレースケールの作成にも、やっぱりいろいろなポイントが詰まっていた。
まずゴールを決め、そのゴールに行き着くための計画を立てる。それをしないでただ順番に色をぬっていくだけではきれいなグラデーションは作れない。つまり、作品を描くときと同じ作業が必要になるのだ。
先生はグレースケールに悪戦苦闘している我々に「その黒はもっと濃くなる、そんなもんじゃないよ」とアドバイスしてくれるのだが、確かにやってみると2Hの鉛筆ですらもっとずっと濃い黒にすることができ、これもまた新鮮な驚きだった。
そして、グレースケールを作成して分かる最後の重要なポイントがこれだ。
ー道具の能力を知るー
道具の能力を知らなければよい作品は描けないのだ。
いやあ~、私、道具の能力を知って書道していたかなあ・・・。
そんなこんなで、いろいろ考えさせられた1日だったのである。