10/26/2008

◆金文を半切に書く―さらに蘭亭序&温泉銘

先週、半切に自分の好きな字を書く、というのがテーマ(?)の1日書道勉強会に行ってきた。私の好きな字といえば何といっても金文(きんぶん)だ。金文とは、中国で出土された青銅器などに彫られている古代文字で、紀元前何百年(何千年?)という古い時代のもの。まさに漢字の原型だが、現代でも十分に通用する斬新なデザインなのだ。

↓↓↓これは散氏盤(さんしばん)と呼ばれる青銅器の内底に書かれていた文字の一部。現在の文字で書くと「西宮襄豆」となる。「襄」という字はまるで手塚治の漫画に出てくるヒョウタンツギみたいで楽しい。金文を書くときの注意は、1)縦横の線の太さにバリエーションは必要ない、2)起筆は必ず逆から折り返して入る、3)長い線はサーっと書くのではなく、一、二度、休憩(?)する。さて、出来栄えや如何に。初めての挑戦にしては、結構イケてるんでないかい?


↓↓↓青山書道教室のお題は、10月から王義之(おうぎし)の行書の名品「蘭亭序(らんていじょ)」(353年)となった。蘭亭〔今の紹興(しょうこう)〕で宴を催した時の詩をまとめた詩集の序文だ。美しい文字だがあまり特徴がないので、臨書する身にはつらい。「初」という文字の先生が朱を入れた部分、空間が必要だった。



↓↓↓これは赤坂書道教室のいつもの温泉銘(おんせんのめい)。これも空間がポイント。「岸」という文字の朱の部分、空間が足りなかった。ちょっとしたことで、字が生きたり死んだりするんだよね。

10/13/2008

◆懐素(かいそ)の草書と木簡(創玄二科用)

書統の10月号から草書の規定課題が私好みの面白そうな書体になったので、初・草書に挑戦することにした。唐時代の僧であり(狂僧とも言われた)、書家でもあった懐素(かいそ)の草書・千字文(せんじもん)だ。懐素は無類の酒好きで、狂人と紙一重の豪放磊落ぶりだったようで、その草書は躍動感満点(お酒をしこたま飲んで、いい心持ちになって書いたんだろうな)。ところで、千字文というのは子供たちの漢字手本として書かれた長詩(千の違う漢字が使われている!)の総称で、今で言う小学校の教科書みたいなもの。当時の多くの能書家が書いているので、いろいろな書家の作品を見比べてみたら面白そうだ。ま、それはさておき、破天荒な懐素が書いた大真面目な千字文を、ひとつ臨書してやろうじゃないか。と、気合いだけは相当に入っているぞ。

↓↓↓何人かが、同じ懐素の千字文(言辞安定)を臨書してT先生のところに持っていったら「あれ、初めて草書を書いたわりには、皆、うまく書いてるなあ」と不思議そう。やっぱり、懐素という人物の魅力なんですかねえ。な~んちゃって。


↓↓↓これはT先生主催の赤坂の錬成会(れんせいかい)で書いた創玄展2009(二科)に応募するための木簡の臨書(書いたなかで一番元気がいいと褒められたもの)。生徒数6名という小じんまりとした勉強会だったが、1日たっぷり、先生に教えてもらえたので、皆満足、満足。その後のお酒も(私は飲めないが)つい進んでしまったよ。さて、その成果は? というと、なんだか袋小路に入ったようで、書けば書くほど下手になってきたような。T先生のアドバイスは、太い線と細い線の違いを明確にする、文字の大きさ・形を大・小、縦長・横長と書き分ける(食と部は縦長になる)。縦画は、ゆっくり書くように注意する(私は速く書きすぎる)。若干斜め上に傾斜した字体にする。同じような線でも速度を変えたりして、同じ表現にしない。力を抜いて軽く書く(これが結構難しい)。はあ~~~、まだ締め切りまでに時間はあるので、頑張ろうっと。